2011年12月19日月曜日

案山子・scarecrow・稻草人

語学にはいろいろな楽しさと面白さが秘められています。今日は同じものに対する違う言語による発想の違いを皆さんにご紹介します。

「案山子」といったら、カラスなどの害獣を追い払うために田んぼや畑に設置されているわらで作られた人形の様子を皆さんがすぐ思い浮かべるのでしょう。

実は英語で「案山子」のことを「scarecrow」と呼びます。前半のscareは「何かを怖がらせる、おびえさせる」という意味の単語で、後半のcrowはまさに「カラス」です。案山子のことをまったく知らない人でも、「何かしらの方法でカラスを怖がらせるものでしょう」と、すぐその目的がわかります。

一方、中国語では、「案山子」のことを「稻草人」と呼びます。「稻草」は「わら」の意味で、「人」は「人」の意味です。 案山子のことをまったく知らない人は目的や使い方などがわからないが、とりあえず「わらで作られた人形」という外観を想像できます。

では、日本語の「案山子」はなぜ「かかし」と呼ぶのでしょうか?語源については諸説があるらしいが、その中のわりと面白い一つはこのように説明しています。昔、悪臭を放つ何かを焼いて、その匂いをカラスなどに嗅がせることで害獣を追い払っていたようです。その「嗅がせ」が「かがし」となり、最終的に「かかし」という名前になったと言われています。もちろんいまの案山子は悪臭などを発生させませんが、実は日本語の「案山子」に大昔の害獣駆除方法が隠されています。

同じ案山子ですが、英語は目的、中国語は外観、そして日本語は手法にそれぞれ着目して名づけたことが伺えます。面白くはありませんか?

同じ外観の特徴に着目して名づけた名前でも、やはり言語の違いによって、その発想は随分と違います。今度は、案山子よりもっと身近な「目玉焼き」を例にして説明します。日本語ではもちろん見た目は目玉に似ているからこう名づけましたが、英語では「太陽のある面が上になっている卵」という発想で「sunny-side up egg」と、中国語では「ポケットの中に入っている卵」という発想で「荷包蛋」とそれぞれ名づけられています。

皆さんも普段外国語の勉強をしているときに留意していただけば、このようなささやかな面白さをたくさん見つけられると思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿